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アメリカでの人材採用におけるファーストステップ

​アメリカに海外赴任し、初めて人事・採用業務に携わる方も多いと思います。この記事では、人材採用に関する基本的な考え方や実際の運用上の要点についてご紹介します。

「要件定義」の重要性

人材採用における最初のステップは、必要な人材の「要件定義」です。欠員補充や増員の必要性が生じた際、緊急に要件を定めるのではなく、事前に事業計画や展望、また将来的に解決すべき経営課題をもとに、「今後必要となる人材の要件」を明確に定めることが重要です。このプロセスには、社内外の主要ステークホルダーを事前に巻き込むことが不可欠で、採用プロセスや入社後のインテグレーションを円滑に進めるのに役立ちます。

ナショナルスタッフのキーパーソン、現地法人の人事担当者、本社の意思決定者、外部の専門家(人材紹介会社など)との対話を通じて、より効果的な採用プランを策定しましょう。採用プロセスが上手くいかない、適切な候補者が見つからないといった問題は、面接実施側の「準備不足」がほとんどの原因です。この準備不足は、候補者に対する誠意不足だけでなく、前述の要件定義の不備、関係者との事前連携不足、そして「面接を受けに来る候補者はうちに入社したいと思っている」という思い込み(企業と候補者はお互いを選び、選ばれる立場にあることを認識することの不足)から生じることがあります。納得のいく判断を下し、自社の魅力を示す有意義な面接を行うために、面接実施側の事前準備も不可欠です。

事前準備の一環として、ジョブディスクリプション(職務記述書)の作成をお勧めします。アメリカでは、ジョブ型雇用(*1)が一般的であり、職務内容や条件を明確に定めて採用募集・面接を進める必要があります。会社情報から業務内容、必要なスキル・条件まで詳細に記載する必要があります。なぜなら、ジョブディスクリプションに記載していない業務を依頼した場合、「これは私の担当領域外です」という反応を得ることがあります。
(*1) ジョブ型雇用とは:業務内容を明確に定め、その業務に適した人材を採用し、育成する人事制度です。現在、日本でも「ジョブ型採用」が増加していますが、アメリカでは以前から行われている人事制度です。

アメリカにおいて文化や地域に微妙な違いが存在することを認識することは非常に重要です。アメリカは多様性に富んだ国であり、文化、価値観、社会的期待が州や地域によって異なることがよくあります。採用プロセスや職場でのコミュニケーションにおいては、これらの文化差に敏感であることが必要です。特定の言葉遣いや行動がある地域では受け入れられる一方で、他の地域では不適切とみなされることがあります。また、差別や偏見についても敏感である必要があります。アメリカでは多様性と平等の重要性が強調されており、差別的な発言や行動は厳しく非難されます。アメリカの多様性を尊重し、文化や地域の違いを理解し、差別を排除する姿勢が、成功するために不可欠な要素となります。

ジョブディスクリプションの記載例:

会社情報
ジョブタイトル(ポジション名)
業務概要や担当領域・具体的な業務内容
責任や権限の範囲
ポジションにおける期待値や目標
応募資格や必要スキル・経験、人物
レポートラインやマネジメントする人数
給与・福利厚生(時間外手当なども含む)
勤務地・勤務形態 など

準備段階で作成したジョブディスクリプションは、実際の採用時にさらなる改善が必要です。日本企業はローカル企業やアジア系・欧米系外資との競争が激化しており、「選ばれなくなっている」状況にあります。したがって、現地法人のマネジメント陣にとって、「人材採用スキル」の重要性がますます高まっています。同時に、駐在員自身の将来のキャリアにおいても、このスキルは非常に有用です。
JAC Recruitmentの調査によれば、海外赴任前に「人事」業務に関わった経験がある方は全体の12%ですが、この分野には大いに伸びしろがあると言えます。要件定義の段階で、私たちが貴社の採用チームに参加し、マーケット情報を提供するなど、お手伝いさせていただきます。
ご質問や相談事があれば、unitedstates@jac-recruitment.us までお気軽にご連絡ください。

また、アメリカの文化に合った人材採用戦略、雇用機会均等法、アメリカの人事ルールについての情報は、以下のURLからご覧いただけます。
https://www.jac-recruitment.us/ja/blog/2023/09/recruitment-strategies-in-american-culture